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I.緒言
1962年,梅沢ら1)が土壌中より分離した放線菌の一種Streptomyces verticitlusが産生する,水溶性塩基性ペプチッドの抗腫瘍性抗生物質を発見し,ブレオマィシン(以下BLMと略す)と名付け,さらに市川ら2)がその臨床実験を試み,頭頸部,皮膚などの扁平上皮癌に著効を有することを証明して以来,足掛け10年になる。その間,頭頸部悪性腫瘍の治療は,手術,放射線,化学療法を組み合わせた,いわゆる三者併用療法の発達により,従来しばしば施行されてきた拡大手術は回避される趨勢になつてぎた。この間,BLMもしばしばこの治療法に組み入れられるか,または単独に使用され,それぞれ効果を上げ,十分に臨床的意義を上げるに至つている。
一方,このBLMの毒性,副作用についての報告も多数に及び3)〜9),手指の硬結,口内炎,脱毛,発熱などの一過性のものから,肺線維症の如き,患者の生命を犠牲にするものまで多数見られるようになつた。特に,肺線維症は癌は征服できても,その宿主たる人間の生命を奪うことになるので,この薬剤を使用しての癌治療は大問題になつて来ており,使用量の制限,および肺の線維化などの副作用防止のため,ステロイドホルモン製剤,タチオン製剤などの投与などが試みられてきている。
Therapeutic effect of locally injected bleomycin for treatment of patients affected with visible carcinoma of the head and neck, particularly the oral cancer or for the post-operative patients with maxillary cancer, was tested for the period of 6 years from 1970 to 1975.
By this treatment, the disappearance of the cancer was recognized in 4 out of 5 in primary cases and 6 out of 7 in residual or partially resected cases. The prolongation of life was noted in 4 out of 10 in the end-staged or advanced cases.
The side-effect was noted in one patient, as an impairment of the pulmonary functions.
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