特集 外傷
外鼻の損傷
星 栄一
1
,
荻野 洋一
1
1聖マリアンナ医科大学形成外科学教室
pp.771-783
発行日 1976年10月20日
Published Date 1976/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492208411
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I.はじめに
外鼻は顔面の中央に位置し,もつとも突出しており外傷をうける機会が多い。Schultz10)によれば,顔面骨折のうち鼻骨骨折は全体の37%をしめもつとも多い(第1表)。また,彼によると顔面外傷では骨折と軟部損傷がほぼ同じ割合で生じているので,外鼻の損傷は外鼻軟部組織の損傷と鼻骨骨折を含めると相当な割合になると考えられる。
一方,外鼻は顔面における位置とその形態的な特徴から,個人の顔貌を左右する大きな要素でもある。外鼻の外傷によつて生じた変形や瘢痕がたとえ小範囲であつても,顔貌に与える影響は大きく,患者の精神的苦痛は計り知れないものがある。さらに,外鼻支持組織の損傷や,いわゆる可動性外鼻と呼ばれている外鼻下半部の軟部組織に欠損があると,外観的な形態異常ばかりでなく,外鼻と直接関連のある鼻腔,副鼻腔などにおよぼす機能的な障害も無視することはできない。
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