特集 症状からみた検査のすすめ方
いびき
戸川 清
1
1秋田大学医学部耳鼻咽喉科学教室
pp.685-690
発行日 1974年10月20日
Published Date 1974/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492208124
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
I.はじめに
いびきは睡眠中に呼吸に伴つて上気道から発する異常音で,一般に気流が軟口蓋を振動させることによるとされている1)。いびきが発せられるのは睡眠中であり,本人が実感しないこと,世間では極端に大きい場合を除けばいびきを病的と考えないことなどのためか,いびきを主訴として耳鼻咽喉科医を訪れる人は少ない。そのためかわれわれのいびきに対する関心もうすいのが現状である。しかし実際には夜毎の強いいびきで同宿者の睡眠を妨げたり,本人は人知れず悩み,団体旅行を避けているという人も決して稀ではない。
たしかにいびきは正常者でも疲労時や飲酒後などに発することがあるが,これはその人の睡眠時体調(全身および局所の状態)をあらわす有意の症状であるといえる。一過性の体調の変化によつても出現する症状としていびきを考えるならば,決しておろそかにできないし,常時いびきを発する人に対しては何らかの異常状態を想定し,その関連性を追求する必要がある。
Copyright © 1974, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.