Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
いわゆる新生児,あるいは乳幼児上顎洞炎は,その発生機序および解剖学的特徴から,成人のそれとは趣を異にし,高熱を以て始まるため,最初は小児科医を訪れることが多い。しかも初期には診断がつき難く,症状が激烈になつて耳鼻科医のもとを訪れるようになり,一方容易に骨髄炎を惹起し,また重篤な合併症を併発し,比較的予後の悪い疾患とされていた。しかるに,抗生物質の進歩に伴い,最近では死亡例の報告も少なくなつてくる一方では,起炎菌が肺炎双球菌からブドウ球菌へと推移し,しかも従来用いられていた抗生物質には抵抗性を示す菌種の報告が増加している。
著者らは最近,いわゆる多剤耐性ブドウ球菌によつて惹起された顔面,躯幹の膿皮症が先行し,これと同一菌によつて発症をみた,生後15日以内の新生児上顎洞炎を3例経験し,全治せしめえたので主に起炎菌とそれらに対する抗生物質療法について検討を加えて報告する。
Three cases of sinusitis neonatorum are reported. All cases were previously affected with impetigo. Both of these affections were caused by antibiotic-resistant staphylococcus aureus.
One case was cured by conservative treatment, the other two were treated with surgical intervention by Luc's operation with the incision on palpebra inferior. Chemotherapy was administered by doses of synthetic-penicillin.
Copyright © 1974, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.