今月の主題 肺の炎症性疾患—最近の動向
診断
起炎菌とその決定
松本 慶蔵
1
Keizo MATSUMOTO
1
1長崎大学熱帯医学研究所・内科
pp.332-333
発行日 1980年3月10日
Published Date 1980/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216430
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起炎菌の決定の意義
細菌性呼吸器感染症の的確な診断と治療の遂行に当たって最も重要なことが,起炎菌の決定であることはいうまでもない.喀痰を対象にして起炎菌を決定する時,口腔内細菌の汚染をうけるため,それを排除する方法が試みられ,その方法として喀痰内細菌叢定量培養法(喀痰定量法)と喀痰洗浄培養法が主に行われつつある.前者は筆者らが推進してきた方法で,後者は大阪市大第1内科塩田・三木が推進してきた方法である.これらの方法によってすべての細菌性感染症の起炎菌が決定できる訳ではない.その理由として次の事項があげられる.
①既に抗生剤の投与をうけている場合,②ウイルス感染が主体で細菌感染が従の場合,③的確な喀痰ではなく,唾液が主体である場合などがあげられ,重症の細菌感染症では①のことが多いが,そのほかに意識が混濁していて喀痰が採取できない場合もある.喀痰が得られない時には,気道内分泌物を経気管的に採取する気管穿刺吸引法(transtracheal-aspiration;TTA)が有用である.
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