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I.はじめに
Sarcoidosisは1875年にHutchinsonによりはじめて報告され,当初は皮膚の結節性病変と考えられ,1889年にBesnierはLupus pernioと,1899年にBoeckはSarkoidと命名した。1905年にHeerfordtは発熱,顔面神経麻痺,耳下腺腫脹,虹彩ブドウ膜炎を合併した症例を経験し,その後1914年にSchaumannが,皮膚以外の臓器にも病変がある事を観察して全身性疾患の性格を与えた。現在では本症の概念は次の様に考えられている。
1.諸臓器に類結核性の病変が同時多発または逐次発現する全身性系統的疾患である。両側肺門リンパ節腫脹は本症に特徴的な所見である。
2.組織学的には,明らかな壊死または乾酪化のない類上皮細胞結節(肉芽腫)が見られる事を特徴とする。
3.病因的には未知である。
4、近年は免疫不全疾患と考えられている。
本症の好発部位は頻度順に列記すると,リンパ節特に肺門リンパ節,肺,眼,皮膚その他である事から呼吸器科,眼科および皮膚科領域では早くから注目されていたが,Heerfordt症候群の様に耳鼻咽喉科領域の病変が主体をなす事は比較的稀なため,わが国では耳鼻科からの報告はきわめて少ない。今回われわれは左顔面神経麻痺の患者の胸部X線写真からSarcoidosisと診断された症例を経験したので報告する。
A case of facial palsy due to sarcoidosis is reported with a review of the literature of this country on similar subjects.
A woman, aged 21, was found to be affected with a facial palsy. During the process of making a general physical examination, as a preparation for stellate ganglion block, the x-ray of the chest revealed the presence of sarcoidosis.
The authors emphasize the necessity of making x-ray examination of the chest in the diagnosis of facial palsy.
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