特集 小児耳鼻咽喉科疾患
小児の耳介変形に対する修復形成手術
荻野 洋一
1
,
西村 善彦
1
1東洋医科大学耳鼻咽喉科学教室
pp.769-783
発行日 1972年10月20日
Published Date 1972/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492207839
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Ⅰ.緒言
耳介の形態的な異常には先天性小耳症および埋没耳(袋耳)によつて代表される先天性のものと後天的な種々の原因,すなわち外傷,火傷,炎症などで組織欠損や瘢痕を生じ,耳介が変形した症例がわが国ではもつとも多くみられるが,外科的治療を必要とする症例でまず第一に問題となるのはその変形の状態が耳介軟骨に代るべき支持組織の移植を必要とするか否かであろう。
約10数年前までは,高度な耳介の組織欠損に対して軟部組織(筒状皮弁その他の皮膚弁)のみを用いて耳介を修復形成した報告がかなりみられたが,現在皮弁のみによる形成は耳介組織の僅かな欠損,軽度な変形(たとえばhelixのみを形成すれば足りるもの)で耳介の大きさや形状が健側耳と余り差異のない場合や支持組織移植を行なつて耳介を形成した際の補助的な手段として用いられているにすぎない。
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