鏡下耳語
外耳道真菌症と酢酸フェニール水銀
山下 憲治
1
1京都大学
pp.776-777
発行日 1971年10月20日
Published Date 1971/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492207695
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オトミュコーシス(Otomycosis―いままでオト「ミ」コーシスといいまた書いていたが,ラテン語発音の標準式および山下式では,耳鼻咽喉科臨床64巻第5号に書いたとおり,yの発音はドイツ語のü,フランス語uと同じであるから,これからは「ミ」を「ミュ」と書く事にする)の治療法として最高最善なのは0.02%(5000倍)酢酸フェニール水銀水の耳浴であることは,いままでに何回も書いたり話したりしたが,近年水俣病などメチール水銀による公害病が知れわたつてきて,私の酢酸フェニール水銀水耳浴法にも疑惑や懸念が持たれだした。ある老大家は「危険な有機水銀を用うる事は……」と記され,最近またある若い先生が「時節柄有機水銀剤は遠慮すべきである」と書いておられる。
私はこの療法を昭和13年から30年以上も数千例にやつているが,今まで1回も不祥事が起こつたことはない。しかし「時節柄」考え直してみる心要は十分ある。
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