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Ⅰ.緒言
最近の鼓室成形術では,これまでの数々の経験から,①術後,外耳道に開く大きな乳突腔を作らない,②鼓膜は,できるだけ正常位置に形成する,③したがつて耳小骨に異常のある場合,必ず連鎖の再建を行なうなどといつた処置がとられ,これらはまた手術を成功に導くための大切な条件として考えられるようになつた。しかし③については,耳小骨の萎縮,離断,欠損などの連鎖異常がなくとも病変除去のため健全な耳小骨をやむなく摘出する場合もある。いずれにしてもこのような場合,連鎖の再建がどうしても必要で,普通,ポリエチレンやステンレース・ワイヤーなど人工材料,あるいは骨・軟骨といつた生体組織が耳小骨の代わりとして用いられる。ここでは,病変の完全清掃という立場から,ほぼ健全な耳小骨を一時的に摘出し,病巣除去後,再び元の位置に戻した症例を報告する。すなわち,耳小骨の再挿置である。この方法を思いたつた動機は,摘出耳小骨をそのまま捨てるにはしのびないこと,再利用ですぐれた効果を現わせば,きわめて合理的な再建法であると考えたからである。
Seven cases of meatotympanoplasty with ossicular autograft were reported. In these cases it was necessary to remove healthy incus or malleus with incus for elimination of all diseased parts. The removed ossicle was replaced in its normal position and the ossicular chain was reconstructed. The hearing test revealed the average air-bone gap of 25 dB six months after the operation. This was supposed to be caused by some fixation of the replaced ossicle.
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