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Ⅰ.緒言
耳鼻咽喉科領域におけるアレルギー性疾患の原因としては,一般アレルギー性疾患と同様吸入性抗原,食餌性抗原,接触性抗原(化粧品など),物理的原因(気温,気湿の変化など),経口的ならびに非経口的に投与された薬物などがあげられる。プロテイン銀は,鼻疾患の治療において現在もなお日常多用されている薬物であるが,銀と蛋白質の化合体であることを考えれば,抗原としての作用を有するであろうことは十分に考えられるところである。本邦では現在まで樋口1),久保2),会田3)等4)5)6)7)8)9)10)11)の本剤によるアレルギー症が報告されているが,日常の診療においてはまだ本症に対してあまり考慮が払われていないように思われる。時にプロテイン銀使用後水様性鼻汁,鼻閉塞感,くしやみを訴える患者的に遭遇することがあるが,治療時の物理的刺激によるものであろうとして,この程度ではさほど注意を払わない場合が多い。
著者らはこのような症状を訴えているうちにプロテイン銀使用後呼吸困難をきたし,さらに後日不用意に再度プロテイン銀の塗布を行ない喘息様発作をきたした症例および数回のプロテイン銀使用後に重篤な発作をきたした症例に遭遇し,軽々しく物理的刺激などに原因を帰することなく,十分な検索を行なつて原因をつきとめる必要のあることを痛感させられたので,ここに報告しご批判を仰ぎたいと思う。
The authorsreported two cases of allergy caused by administration of silver-protein.
The patients complained of nasal discharges and obstruction, dyspnea and asthmatic symptoms, and flushing and itchiness of the whole body. Intradermal test with the substance used in one case showed a positive reaction.
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