薬剤
Hetacillinの抗菌力,血中濃度,尿中排泄,組織内移行ならびに臨床的応用に関する検討
岩沢 武彦
1
,
本戸 勉
1
1札幌逓信病院耳鼻咽喉科
pp.691-701
発行日 1969年9月20日
Published Date 1969/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492207339
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Ⅰ.緒言
近年感染症に対する化学療法は,多数の化学療法剤とりわけ抗生物質の進歩発展にともない,菌交代現象なども関与して感染病巣から耐性ブドウ球菌,緑膿菌,変形菌などの一連のグラム陰性桿菌および真菌類を分離同定する場合が多く,したがつてその化学療法剤の研究の方向は,これら病原菌を徹底的に撲滅し,炎症性病変を終熄させる強力な抗菌力,良好な吸収排泄,しかも副作用発現の軽微なことがもつとも大切な要素となつている。
1928年Flemingにより発見されたPenicillinは,今日までその速効的な殺菌効果により感染症治療に果たしてきた役割はきわめて大であつたが,多年の使用期間中とくにPenicillin耐性株の増多,Penicillinショックもしくはアレルギー発生などの抗原性が重視され,その対策が化学療法の領域のみならず広く社会問題にまで波及するにいたつた。
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