Japanese
English
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家族性内耳性難聴症例—病理組織学的観察
FAMILIAL CONGENITAL PROGRESSIVE DEAFNES: A HISTOPATHOLOGICAL OBSERVATION
杉浦 茂
1
Shigeru Sugiura
1
1東京大学医学部耳鼻咽喉科学教室
pp.641-645
発行日 1969年9月20日
Published Date 1969/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492207330
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先天性難聴の一つである家族性内耳性難聴は母胎内,あるいは生後発育の過程で内耳の変性が出現してくる結果として現われる。これは末梢の聴器が妊娠3ヵ月頃に何かの過程で未分化のまま停止した。いわゆる形成不全か,または妊娠の中期に,または末期に分化した聴器の変性により惹起されたものと推定される。形成不全は先天性であり,非進行性であるといわれる。しかし家族性内耳性難聴は乳幼児期,ときには小児期・思春期に発見されることから,生前には側頭骨の病変が判らないこともあり,後天性疾患であるとの説もある。
Goodhill1)は家族性難聴を幼児型と成人型に分けたが,Cawthorne2)は乳幼児期より三十代までに開始の時期を区切つて分類して,この疾患を早発性老人性難聴であると推定した。家族性内耳性難聴で,他の変質性疾患を伴わない症例を経験したので報告する。
The temporal bone findings of 52-year-old woman with a clinical diagnosis of progressive sensorineural familial deafness was presented. The patient had a severe flat sensorineural hearing loss with relatively good discrimination. Her daughter had low tone hearing impairment.
The pathological observation revealed Scheibe's type deafness.
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