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緒言
耳科領域における遺伝性疾患としては,かつてHammerschlagにより耳硬化症,先天性聾唖,遺伝性内耳性難聴があげられている。このうち先天性聾唖に関してはHammerschlag, Albrecht,田中,鈴木,松山等の数々の遺伝学的業績が見られ,現在ではほぼ単性劣性のメンデル式遺伝をなすと考えられている。しかし,遺伝性内耳性難聴については今日迄の報告例は少なく,その主なものはUndritzの2家系,Albrechtの10家系,山田の7家系,河田の2家系等があるのみで,その遺伝型式についても種々の説があげられているがまだ一致した見解に至つていなかつた。ところが近年高岡は静岡県下における40例について,その家系図および推計学的,生物統計学的観察を行なつてこれを検討した結果,本症は単性優性遺伝でメンデル式遺伝をなすことを推論した。我々も昭和37年3月,札幌医大耳鼻科を訪れた難聴を主訴とする患者より,遺伝性内耳性難聴と診断した一家系を経験し,これに若干の検討を加えたので報告する。
An extensive study of the family history of a patient who complained of deafness was made. In this familial branches numerous in-dividuals suffering from congenital nerve de-afness were discovered. From the study of biological statistics made on members of this family branch it was revealed that the deafness of the individuals was manifested by Mendelian Law of homozygous inheritance.
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