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Ⅰ.緒言
鼻副鼻腔にみられる良性腫瘍は,発生頻度こそ少ないが種類はまことに多い。このうち,上皮性腫瘍に属するものとしては,乳頭腫,腺腫および腺嚢腫などがみられるが,乳頭腫は一般に稀なる疾患と考えられている。しかし,この腫瘍は発生部位によつては,その拡大性増殖傾向により骨破壊を伴うこともあり,また再発が少なからず認められる。病理組織学的にも悪性化の像を示す場合もあり,一部の学者にはいわゆる前癌状態として注目されている。一方,鼻副鼻腔良性腫瘍を鼻前庭良性腫瘍に限定して観察してみると,良性腫瘍の頻度こそ少ないが,乳頭腫は比較的よくみられる腫瘍で,その組織学的所見ないしは発生に関しても興味ある点が少なくない。
Denker-Kahler全書中,Eckert-Möbius1)(1929)によつて,60例の乳頭腫の詳細な記載がなされているが,本邦では日本耳鼻咽喉科全書中,笹木2)(1955)が59例を文献より蒐集して統計的観察を行なつている。その後の報告例を加えると,著者らの2例をも含めて,本邦における鼻副鼻腔の乳頭腫は106例に達する。著者らは最近,鼻前庭に発生した乳頭腫の1例と鼻中隔より発生した乳頭腫の1例を経験したので,臨床観察を行なうとともに,鼻副鼻腔乳頭腫ならびに鼻前庭良性腫瘍に関する本邦文献についての統計的観察を行なつたので報告する。
The papillomas, that occurred in the nasal pyriform aperture of a woman, aged 41, and in the nasal septum of a woman, aged 16, were removed surgically. No recurrence is seen. Literature of nasal tumors is reviewed. There were 39 cases of pyriform aperture tumors reported in this country and 16 of these were papillomas.
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