海外通信
独逸Würzburg大学耳鼻咽喉科教室の過去と今日と未来像
熊澤 忠躬
1,2
1Würzburg大学耳鼻咽喉科学教室
2関西医科大学耳鼻咽喉科学教室
pp.65-71
発行日 1969年1月20日
Published Date 1969/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492207248
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見わたす限りの実り豊かなBayernの広野,鹿や兎がアウトバーンに飛び出して来るという森林,そして谷間ごとに現われてくる村々の赤茶けた家並,村の中心にある尖つた教会の屋根,総てが詩的な感激を誘わずにはおられない有名なRomantische Strasseを,バスに揺られながらFrankfurtからここWürzburgに到着したのは,昨年十月初めでありました。以来頭や耳が痛くなるような寒い冬,百花一斉に咲き揃い,この世のものとは思われない程の美しさだと人云うところの五月もたちまちのうちに過ぎ,今ブナと白樺の青い葉が目に痛く感じるようなこの地の7月が訪れてきました。言葉の不自由と生活習慣の違いから,やたらに緊張するような日々の連続でありましたが,半年を過ぎる頃よりようやく生活にも馴れ,仕事も軌道にのり,当教室の事情も私なりに判つてきましたので,ここに当教室便りを報告しようと思います。ただし教室の実状について私の見解に誤りがあつてはならないと思い,Prof.Wullsteinにたのみ,Dr.Wigand講師,Dr.Schindlerにその大意を書いてもらいましたので,ぞれを紹介するともに,私の見解註釈を括弧の中に附言します。
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