寄稿
奈良県立医科大学付属病院における看護部未来像
矢野 尉子
1
1奈良県立医科大学付属病院看護部
pp.27-29
発行日 1969年6月1日
Published Date 1969/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663906185
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はじめに
医学の高度の進歩や社会情勢の変遷に伴い,医療の一端をになっているナースのあり方やnursingの概念にも大きな変化が出現しつつある。すなわち,nursingに対する考え方も徐々に変化してきており,従前のようにもっぱら患者の身体面や,入院患者の医療にだけ重点が置かれていた第1段階の状態に対して,これではいけないとの反省がなされ,第2段階では健康に関するあらゆる面での責任を持ち,患者を総合的に取り扱おうとする総合看護(comprehensive nursing)という考え方に変化したのである。この第2段階の中に属する一つのものに「患者中心の看護(patient-centered approaches to nursing)」があり,その管理方法の一つとしてP. P. C.(progressive patient care)が生まれてきた。第3段階のnursingの概念は,nursingをより向上させるため科学的な基礎づけが必要であるという考え方であり,言葉を変えると看護学という独立の体系を持った学問を完成させ,それを用いて科学的なnursingを行なおうとするものなのである。
次に社会情勢の変化について述べると,まず現在の社会が求めているナースの姿について述べなければならない。
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