特集 最近の薬物療法と問題点
輸液療法の実際
加藤 暎一
1
1慶応義塾大学医学部内科
pp.827-833
発行日 1968年10月20日
Published Date 1968/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492204017
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I.はじめに
われわれ生体はきわめて高度に分化した各種細胞の集団と見做すことができる。これらの細胞がそれぞれ自己の持つ機能を完全に発揮し,そして協調,関連が保たれてこそ始めてわれわれは有機体としての機能を保ち得るのである。
これら細胞の機能と代謝は密接に結びついている。細胞の代謝の場を型造つているのが体液である。したがつて体液バランスの異常は機能あるいは代謝の異常を招来するし,逆に機能あるいは代謝の異常は体液バランスの異常を惹起し得る。Cannon1)が体液のHomeostasis(恒常性)が自然治癒力の根源であるといつたのも決して誇張ではなく,また機能あるいは代謝の異常はすなわち疾病なのであるから,臨床家はその専攻が何であれ,病態の正しい理解には体液の基礎知識は不可欠で無視することは許されない。
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