特集 最近の薬物療法と問題点
非ステロイド系抗炎症剤
水島 裕
1
1東京大学医学部物療内科
pp.757-763
発行日 1968年10月20日
Published Date 1968/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492204009
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I.はじめに
感冒など,耳鼻咽喉科と内科の両方で扱う炎症性疾患も少なくないが,われわれ内科医には,その他の耳鼻咽喉科領域での抗炎症剤の問題点を適確にとらえることはできないかもしれない。しかし,おそらく,耳鼻咽喉科領域においても,抗炎症剤の問題点は,(1)数多い抗炎症剤を,いかに使いわけるか,(2)感染症の際の炎症は,生体の一つの防御反応であるから,感染症に抗炎症剤を使う意義はなにか,の二点が中心ではないかと推測し,これらの問題を中心に論じてみたい。なお,(1)には,当然作用機序の差,たとえば消炎酵素剤と非ステロイド剤が,それぞれ炎症にどのように効くのかの問題も含まれよう。
一口に非ステロイド系抗炎症剤といつても種々のものがある。本稿では,耳鼻咽喉科領域ということを考え,非ステロイド系のもののうち,非特異的抗炎症剤のみを対象にする。非特異的抗炎症剤とは,大多数の種類の炎症に,多かれ,少なかれ効く抗炎症剤群のことである。抗ヒスタミン剤,金,クロロキン製剤,コルヒチンなどは,特殊な炎症にのみ有効な特異的抗炎症剤であり,本稿ではふれない。
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