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Ⅰ.まえがき
顔面神経の減荷手術の手技に関しては,従来より数多くの発表があり,各様の工夫がなされている。しかし,その多くは,耳鼻科医による報告で,手技の基本としては,まず乳突削開術を行ない,これを漸次拡大し,顔神管隆起に到達して,顔面神経を露出し,外神経鞘に切開を入れる方法がとられているが,多くの報告が問題とするところは,乳突削開,アントルム,アチックの開放からついでどこの部位で顔面神経を解放すべきかの点である。すなわち,一番浅い顔面神経走行の水平部と垂直部の膝の所か,あるいは垂直部の乳突部の附近から露出すべきか,この点が論議の分れるところであつた。
われわれがここで,あらためて言いたいのは,神経管の圧排術はあくまで神経外科の手術であつて,耳鼻科で普遍的に行なわれている乳突削開術や,耳根治手術などを基礎とした延長手術手技ではないということである。したがつて,顔面神経の開放のためには,乳突削開,アントルム,アチック閉放は,神経外科の立場からみれば,顔神管到達までの目標の前に横たわる障害物であり,もしできれば,乳突部,アントルムなどの開放は行なわず,いきなり顔神管に到達するのが望ましいことになる。
The authors stress the advantages of performing decompression operation of the facial nerve in cases of facial nerve palsy by starting the nerve exposure from the stylomastoid foramen without effecting any removal of the mastoid cells. In this way the operative wound may be closed by first intension.
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