鏡下耳語
鼻疾患の研究
北村 武
1
1千葉大学
pp.332-333
発行日 1968年4月20日
Published Date 1968/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492203942
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後藤学長から約10年おくれて耳鼻咽喉科医を志した私は学生生活の終りにProntosilの講義をきいた。感染症治療の革命のときに専門医のスタートを切つたのであるが,その当時は急性中耳炎の治癒もはかばかしくなかつた。たまたまWittmaackのPneumatisationslehreを知り深い感銘をうけた。そうしたときに久保教授から萎縮性鼻炎の前頭洞発達への影響についての研究を命ぜられ,X線学的に検討することになつた。
やつてみて副鼻腔の発育が非常に不定であることに気づいた。その変異係数は大きくて,生物学的には一つの器官とはみなされない程なのである。しかし別な見方をすると各々の副鼻腔の間には一定の法則に従つている発育上の関連がある。ところが萎縮性鼻炎ではその関連性も失なわれている。この疑問を解決することがその後の研究の目的であつた。
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