特集 鼻—研究と臨床
巻頭言—鼻に関する研究の序言
大藤 敏三
1
1日本医科大学
pp.1029
発行日 1958年12月12日
Published Date 1958/12/12
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492202144
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最近独乙のGeorg Thieme(Stuttgart)の出版でLeicherやMittermaierが編輯しているZwanglose Abhandlungenの中にMatzkerという人のBiauraler Hörsynthese-Testという本があつたので拾い読みをしたが,その序文にProf. Leicher(Mainz大学耳鼻咽喉科教室)が丁寧な序文を書いている。要するにこの出版によつて新しい批判と内容あるジスカツシヨンの起る事を待ち望むと結んでいる。新しく研究論文が発表されたなら必ずその反響を呼ぶ内容が盛られていなければならないであろう。然し,日々夜々出版界のマスプロは激しい勢であつて特にこの頃の様に忙しさを押しつけられている医師に向つて,一々の論文に目を通す事は中々の困難である。
その一方余暇をさいて研究に専念しその成績の新分野を公表しようと心懸ける幾多の専門家が実在する事は,医学日本の少くも未だに跡を絶たない伝統的な向上精神の逞しい現われであろうと考えられる。今回も亦編輯室に山積された論文から鼻腔,副鼻腔に関する臨床論文を選択集録して,例年の如く補冊一冊を刊行するに到つた。Leicher教授の序文の精神を以てせめて代言させて戴き度いと心中希望する所である。
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