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Ⅰ.緒言
最近,精神身体医学,Psychosomaticsが,種々の疾患の補助的診断および治療方針を立てる上で重要な役割を演ずる場合が非常に多くなつて来たことは,注目に価いする。耳鼻咽喉科領域においても,咽・喉頭および食道部位のパレステジー,メニエル病あるいはメニエル症候群などが精神身体医学的な面と密接な関係を持つことはいうまでもない。いわゆる「めまい」を素因別に見ても,反射的な循環調節不全,起立性循環調節不全,末梢性自律神経性失調,間脳性自律神経性失調,頸性によるもの,それに器質的疾患から由来するものなど,幾多のFactorが渾然としているため,「めまい」患者の診断に際し既往歴,現病歴の検討,聴力検査,平衡機能検査,内耳障害の有無を調べる検査(特に温度検査)などを日常行なつているが,さらに必要に応じて負荷平衡機能検査,すなわち体位変換時の血圧変動や頸動脈洞圧迫試験を施行したり,アドレナリン・ピロカルピン・アトロピン・メコリールを負荷させて平衡機能検査を行ない,頸部捻転時の平衡機能の検査(この検査を,われわれは特に多用しているが)を行なつている。しかし,以上のような複雑な検査によつても「めまい」を発現させている部位や誘因などを決定し治療する際に,困難を感じる場合が多いことは,常に経験するところである。従来,前庭性めまいの代表的疾患であるメニエル病の誘因について精神的ストレスの負荷や自律神経機能の異常がZecker, Fowler, Lüscher,内藤,日前らによつて述べられているが,われわれは「めまい」を主訴として外来を訪れた患者に前記の諸検査を行なうと同時に今回研究題目として取り上げた精神身体的検査を行なつて,患者の不満,不安,精神的葛藤などの情動面の不均衡が「めまい」の発現にどのような影響を与えているか,また,いかなる関連性を持つているかについて検討した。
For treatment of Ménière's disease where the chief complaint is vertigo, psychosomatic approach was considered to be highly valuable. The results in examination of 20 patients by means of M. M. P. I. (Minnesota Multiphasic Personality Inventory) test are reported.
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