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はじめに
酵素剤によるいろいろの炎症性疾患に対する治療は最近ではしばしば臨床面に応用されて来ている。わが科領域でももつとも数多い疾患である慢性副鼻腔炎に対して,保存的治療または手術の後療法としていろいろの酵素製剤が試みられているが,その主なるものは蛋白分解酵素である。その副鼻腔炎に対する有効性については多く研究者により報告されて来ており,その効果の機序については投与された蛋白分解酵素が慢性副鼻腔炎粘膜に作用し粘稠な膿性分泌物や壊死組織の主成分である核蛋白,ムコ蛋白またはPolypeptidにまで分解するとされている。著者らは上記の蛋白分解酵素とは本質的にまつたく異なつたムコ多糖類分解酵素であるリゾチーム(商品名ノイチーム,エーザイKK)を慢性副鼻腔炎患者に使用し,その効果について観察したが,しかしこれらの酵素剤の使用については,局所的な使用は別問題として,経口的または注射により投与された酵素が副鼻腔の粘膜に特異的に移行するかどうかという点については論議のあるところである。
したがつてこの問題は別個の研究題目として,一応触れないこととして,この酵素剤を使用した場合の副鼻腔粘膜の病変への影響について知るために本研究を行なつた。この目的のために副鼻腔粘膜および血清中のリゾチームの活性を測定し,同時にリゾチームの筋注により粘膜のリゾチーム活性の変動を測定した。
The action of lysozyme was studied by treating 66 cases of chronic sinusitis. In 24 of these cases lysozyme was administered intramuscularly, 100mg daily for 5 days. Changes in the blood and the effect of the drug on the healing process of the sinus mucous membrane was studied in detail microscopically.
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