Japanese
English
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耳性側頭葉膿瘍の1例—耳科領域疾患に対する脳血管撮影の診断的意義(1)
TEMPORAL LOBE ABSCESS DUE TO AURAL ORIGIN
立木 孝
1
,
細川 雅敏
1
Takashi Tsuiki
1
1弘前大学医学部耳鼻咽喉科学教室
pp.507-513
発行日 1966年5月20日
Published Date 1966/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492203594
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Ⅰ.緒言
近年抗生物質の発達によつて,一般炎症性疾患はその頻度も減少し,また重症疾患は少なくなつて来たが,耳科領域において生命を脅かす疾患の一つである耳性頭蓋内合併症が決して絶滅したわけではないことは,さきに著者らの一人,立木1)が報告したとおりである。とくにその中でも耳性脳膿瘍は,その経過の特異性,診断の困難さにおいて,現在なお死亡例が後を絶たず,臨床医としてもつとも意を用いねばならない疾患の一つである。著者らは最近特異な経過を示してその診断が遅延していた耳性側頭葉膿瘍の一例を治療する機会を持つた。幸いにしてその診断を確定し,手術的に開放治癒せしめ得たが,その間,その診断に関して,脳血管撮影がきわめて有力な示唆を与えたと思われたのでここに報告する。
The patient was affected with temporal lobe abcess due to aural origin. But, because of the absence of any local symptoms the diag-nosis was delayed until it was confirmed by cerebral artery visualization. The authors stress the need of the latter procedure in some cases of reaching a proper diagnosis.
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