Japanese
English
特集 現代における解離—診断概念の変遷を踏まえ臨床的な理解を深める
ドイツ精神医学における解離—歴史的素描
Dissociation in Geman Psychiatry : A Historical Skech
梅原 秀元
1
Hideharu Umehara
1
1立教大学文学部史学科
1College of Arts(Department of History), Rikkyo University, Tokyo, Japan
キーワード:
解離
,
dissociation
,
カール・ボンヘッファー
,
Karl Bonhoeffer
,
トラウマ
,
trauma
,
統合失調症
,
schizophrenia
,
ヴュルツブルク診断基準
,
Wűrzburger diagnostic criteria
Keyword:
解離
,
dissociation
,
カール・ボンヘッファー
,
Karl Bonhoeffer
,
トラウマ
,
trauma
,
統合失調症
,
schizophrenia
,
ヴュルツブルク診断基準
,
Wűrzburger diagnostic criteria
pp.1060-1066
発行日 2024年8月15日
Published Date 2024/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405207356
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抄録
1999年にドイツで「解離症状のための問診票(Fragebogen zu dissoziativen Symptomen:FDS)」が発表された。これは解離を診断するためのドイツで初めての問診票だった。以後,ドイツでもようやく解離の研究が進むことになった。本稿では,ここに至るドイツ精神医学における解離をめぐる道のりを,「解離の受容」,解離と密接に関係する「トラウマ」と「統合失調症」,そして「診断基準」の4つの点から歴史的に素描することを試みた。この試みで明らかになった道のりは,精神医学の研究・臨床・診断基準は相互に関係し合っていて,そのどれかが変わることの難しさと,変わる/変わらないことが精神医学だけではなく,患者の人生を左右することも示した。ドイツ精神医学における解離の未来は,この道のりの上に位置付けて考えることが必要であり,これは日本についても言えるだろう。
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