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Ⅰ.はしがき
末梢神経系の腫瘍,なかんずくneurofibromaや,neurinomaに関する報告は,他科領域に於ては勿論耳鼻咽喉科領域に於ても,今日ではさほど珍しいものではない。しかしこれらの鼻,副鼻腔への発生は極めて稀なもの(後述),ましてそれが再発し且つ悪性化したという症例は,一層稀有なものといえよう。鼻腔及び副鼻腔に発生するneurofibroma又はneurinomaは,たとえ良性腫瘍とはいうもののその部位が顔面なるが故に,手術法及び摘出範囲(特に本症例の如く,完全に被のうされておらず一部限界不明瞭な場合)等の決定に関しては,他部位に於けるそれとは比較にならぬほど多大の苦心を要するものである。加えて自験例の如く若い女性に発生した場合には,本腫瘍の良性たることにとらわれて,はじめから思いきつた広範囲摘出術を試みる決断はなかなかつきかねるところである。我々は最近左上顎洞に発生したと思われるneurofibromaが数度にわたる手術的治療に抗して局所再発を繰返し,ついには悪性化(肉腫化)した例を経験したので報告する。
A case is reported in whom the neurofi-broma that was found in the left maxillary sinus was repeatedly operated because of recurrences that occurred after each opera-tion. Finally the growth turned into a malig-nancy. Literatures on neurofibroma are re-viewed and discussed.
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