口蓋扁桃の異型肥大の1症例

AN UNUSUAL TONSILLAR HYPERTROPHY

　Ⅰ．緒言

　口蓋扁桃の異型肥大にはJurasz（1885）の命名した振子様扁桃や口蓋扁桃乳嘴状肥大などがあるがその定義に関してはなお議論の余地があるようである。一般には振子様扁桃として定義され報告されている如くであり，本邦においても多数の報告例がある。

　我々は最近外観上の形態からみて振子様扁桃と少し異なる口蓋扁桃の異型肥大症例に遭遇したので報告し，いわゆる振子様扁桃をも含めた扁桃異型肥大症について，その定義に関して若干の考察を加え，分類を試みた。

　An unusual form of hypertrophic tonsil was noted in a woman, aged 49. Clinically, sarcomatous degeneration was considered and tonsillectomy was performed. Microscopic examination of the specimen revealed only normal tonsillar tissues.