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脳波の見方とその解釈—一般医のために
大熊 輝雄
1
1東京大学医学部精神医学教室
pp.1069-1086
発行日 1964年12月20日
Published Date 1964/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492203353
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Ⅰ.はじめに
脳は,人間の思考,行動を支配するのみならず,その情動面や自律機能をも統制する最高の中枢であるが,この脳の時々刻々の活動を客観的に観察する方法は,現在のところ脳波以外には存在しない。
脳波は1926年Jena大学の精神科教授であつたHans Berger1)によつてはじめて正確に記載された。すなわち彼は人の脳の電気活動の研究を行なつていたが,2本の白金の針電極を頭部外傷患者の頭蓋骨欠損部から大脳皮質にむけて挿入し,人の脳から規則正しい電気活動を記録することに成功した。その後彼は,このような電気活動が電極を脳に挿入しなくても,頭皮上につけた電極からも同様に記録できることをたしかめた。
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