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文献—鼻腔,副鼻腔の腺癌,他
pp.728
発行日 1963年9月20日
Published Date 1963/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492203106
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Ann Arbor地区で9例をえて吟味した。かなり稀なものらしいが,cylindroma,mucoepidermoid,cylivdric cellca,Salivary glandcaなどとは明かに区別すべき独立の腫瘍であるというのである。この領域のすべての悪性腫瘍の4-9%ほどを本腫瘍が占める。篩骨洞,鼻腔上部に好発するようで,Ringertz(Acta Otolaryng. Suppl 27)らの統計でもそうである。Jarvi(Acta Otol. 33:471,1945)は胎生期前腸の遺残から発生し本来teratomaの性状をもつという。しかし,むしろ粘膜の成熟上皮から発生すると考うべきで,ことにpapillaryあるいはsessile型は被覆上皮または小唾液腺の上皮から出るのであろう。alvxolarあるいはmucoid型は主唾液腺の粘膜腺癌に関係があるかもしれない。本腫瘍は組織学的に結腸腺癌によく似ていて,上記のいくつかの,この領域の悪性腫瘍とは区別さるべきである。良性のadenoma,papillary hyperplasiaもこの領域に好発し,経過永く,自発しやすく,圧迫によつて骨を破壊するので鑑別しなくてはならぬ。本腫瘍は各種の治療効果が少ない。Larsson(Acta Radiol. 42:149,1954)の10例では5年生存わずか2例。本領域の扁平上皮癌では31%,未分化癌23%の5年生存を思うべきである。
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