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Ⅰ.まえがき
1944年米国Wachsmanがストレプトマイシン(以下S. M. と略す)を発見し次いで翌1945年Hinshaw,Feldmanが初めてこれを臨床的に応用し,結核の化学療法に一大転期をもたらした。その実用化は大いに進歩し,PAS,ヒドラジットの普及と共に現在では結核の化学療法には不可欠の薬剤となつている。しかしS. M. は前庭機能障害,聴力障害の副作用を有する事は早くから知られ,又近時S. M. 使用の増加と共にS. M. の抗原性によると思われる過敏症の症例が報告されて,この方面の注意が喚起される様になつた。抗生物質によるアナフィラキシーの中でS. M. はペニシリンの比ではないが重篤な症状を惹き起すことがあるし死亡例もある。又軽症のものではS. M. アレルギーによると思われる発疹,頭痛,しびれ感を生ずる場合も往々にして見られる。
私は最近中耳根治手術後,耳漏の止らぬ患者に複合ストレプトマイシン1 gを注射して重篤な症状を来した1例に遭遇したのでここに報告したい。
A streptomycin shock is reported. When 1 gram of streptomycin was given intramuscularly for treatment of continued aural discharge that followed after the recovery of a radical mastoidectomy in a girl, aged 19, the patient went into a severe shock a few minutes thereafter. By use of circulatory stimulants and anti-histamines the patient recovered.
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