特集 鼓室形成術
鼓室成形術後の不快症状に対する東洋医学的治療の経験
菊池 三通男
pp.981-987
発行日 1962年10月20日
Published Date 1962/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492202946
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
鼓室成形術後の不快症状とは手術後大変聴力が出たと喜んでおりますと,1〜2か月を過ぎて鼓膜穿孔を来したり又聴力が減退したりする事であります。中耳根治手術から更に進んで錐体尖開放手術によつて聾者が驚く許り聞え良くなつたと喜んでいると数年を過ぎて又元の聾に返えるものもあります。是等は一時良くなつた耳のエネルギーが何等かの原因によつて減衰を来したものと考えられるのでありますがその原因は何か。循環障害か代謝障害か何れにせよ此等障害は除去されなければならない問題であります。私は東洋医に於て聴力と関係ある経穴か耳以外の身体各部に存在する事,板倉武氏が病竈から離れた所を刺激して治療する記載に興味を感じておりましたこともあり,昨年10月以来中谷義雄の良導絡の話をきいてからその方の経験を積み重ね乍ら又その方面の本を多少読む事が出来ましたので其の内鼓室成形術の失敗例について東洋医学的治療を行いました症例をのべてみたい。
Copyright © 1962, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.