特集 鼓室形成術
鼓室造影法(Tympanography)の手技と実際臨床例について
柴田 象太郎
1
1大阪市立大学医学部耳鼻咽喉科
pp.901-911
発行日 1962年10月20日
Published Date 1962/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492202934
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I.はじめに
鼓室形成術の術式や,その臨床に関しては,現在の所一応出来上つた様な印象を受けるけれども然し未だ完成されたものとは云えず,尚解決されねばならない基礎的な幾多の問題が残されている。
例えば,皮弁下の形成腔の問題がある。即ち鼓室形成術は聴覚理論に基き,耳管に連らなる一つの小腔として,その名の如く新鼓室を形成し,病変除去と共に聴力の増進を企図する手術であり乍ら,正しく新鼓室腔が形成されたか,或いは所期の部位に予期の大きさの腔が確かに形成されたであろうか,と云つた様な肝腎の問題に関しては,余り今迄取上げられて居らず,従つてその形成腔の形態や,その形態の治療経過に伴う変形推移等についても,今日迄殆んど検討されていない。
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