鏡下咡語
簡単な鼓室チューブ挿入法
川崎 達矢
1
,
川崎 康一郎
2
1国立静岡病院
2国立岩国病院
pp.230-231
発行日 1978年3月20日
Published Date 1978/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492208632
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いわゆる中耳カタールで慢性の経過をとる症例に対する一治療法として鼓室にチューブを留置する方法は古くArmstrongなどの記載をみるのであるが,わが国でも牧本,白岩,土屋その他の諸氏の報告が散見される。秋山はハンドグリップ式のプランジャーなるものを使つて鼓室にドレィンを挿入する方法を紹介している。たまたま達矢は高齢者に,康一郎は幼年者に,それぞれ独自に,低廉なポリエチレン管(このあとポリ管と略す)を用いて細小チューブを細工し,適応例の鼓室に挿入して良い成績をみた。器用な耳鼻科医ならどうにかして挿入できるのであるが,別に達矢は比較的に簡単な挿入法を実施しているので,両者の経験を併せて,主としてチューブの作り方と挿入法について述べる。
達矢のチューブ(第1図のT1)は手数を省いて諸家のものを真似たが,一端は斜に切り先端は尖つていて突き刺すことをねらい,他端は花弁状に切り拡げてある。康一郎のチューブ(第1図のT2)は少し面倒で,両端を膨らませるが,鼓室に入る端はやや小さくした糸巻型で,鼓室粘膜を刺激しないようにと丸めたのである。約8mmのポリ管を垂直に立て,マッチの火を近づけると硝子のように熔けて縁が平らに膨れる。火力が片よると斜に膨れるが恰好が悪いだけである。出来上つたチューブは長さ5〜7mm,直径1.5〜2.0mmである。この材料には普通ポリエチレンやテフロン管を使うとされているが,巷には塩化ビニール,シリコン,レジンなどの管としてみられ,柔軟な素材で焙ると灰になるものがある。チューブ
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