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I.緒言
著者は先に耳鼻咽喉科誌上に「慢性鼻炎の鼻甲介電気弱凝固療法」の題目で,本療法の治療目的,装置,使用法,治療後の鼻甲介粘膜の病理組織学的所見及び治療成績(30人58鼻側)に付いて述べた。要約すれば,鼻甲介の腫張は血管運動神経性のものは勿論のこと,結合織増殖性のものでも血管帯の充血拡張に負うところが大であると思つて,この血管帯に変化を与えることを目的とし,弱い高周波電流を鼻甲介粘膜下に作用させた。その結果は予想以上の良効な成績が得られた。この方法による鼻甲介粘膜の縮小機転は,病理組織学的に検索して,鼻甲介血管帯(深部海綿体組織及び表層部静脈)の収縮,閉塞及び粘膜下組織の緻密化によるものであることを著者は認めた。他方,その上皮細胞は,正常状態に保たれていることから,鼻甲介粘膜の機能は保たれていることが推測された。
上述の如く,本療法は慢性鼻炎の保存的療法としては適当な方法であるので,前回の報告後の治験例について得られた治療成績と知見について第2報として報告する。
Microscopic study is made on nasal turbi-nates which were treated for chronic rhihitis by use of low-grade high frequency electrical current. This treatment apparently caused vasoconstriction and to some extent a compl-ete occlusion of the vascular network and fibrosis of the submucous tissues. On the other hand due to a low grade current no injury was caused to the surface mucous membrane. The author considers this form of treatment highly favorable as that of a conservative method.
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