薬剤
高単位セフアランチン加下甲介電気焼灼療法
吉江 信夫
1
,
折口 健
1
1信州大学医学部耳鼻咽喉科学教室
pp.643-646
発行日 1968年8月20日
Published Date 1968/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492203991
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Ⅰ.緒言
慢性肥厚性鼻炎,血管運動神経性鼻炎の腫大した下甲介に対する治療の一つに,古くからジュール熱による組織破壊効果6)17)を応用した電気焼灼,凝固療法がある。慢性肥厚性鼻炎の治療法の一つとして,教科書,成書には,必ずその名前が記載されているくらいであるが,詳しく述べているものはきわめて少ない10)19)。本法に関する研究,報告もきわめて少ないが,その大きな理由は本法に幾多の欠点(後述)があるためと思われる。本法の欠点が改善されれば,手技,装置の簡単な本法はもつと日常臨床に利用できるものである。
最近,耳鼻咽喉科領域で,粘膜組織の炎症,変性,壊死などの治療に副腎皮質ステロイド18)やセファランチン11)12)16)が広く使用されている。電気焼灼,凝固による下甲介の治療は火傷の治癒機転に伴う瘢痕性収縮を主な目的にしているが,それに伴う鼻腔内での副作用が種々あり,本法の欠点になる訳である。われわれは上記の薬剤が,下甲介の火傷に伴う副作用を防ぐことができるのではなかろうかと考え,電気焼灼,高単位セファランチン全身投与,副腎皮質ステロイド軟膏局所使用の併用療法によつて慢性鼻炎,血管運動神経性鼻炎の腫大した下甲介を治療し,いささかの知見を得たので報告し,ご批判を仰ぐ次第である。
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