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緒言
週期性嘔吐症は所謂自家中毒症と言われている症候群である1)。自家中毒症と言う名前は,大正3年4月,日本小児科学会総会で伊藤が「重症自家中毒症」と言う演題で2症例を発表して以来広く使われてきた2)。たまたまその第2症例が6歳女児の扁桃切除術後本症を起した例であつた。耳鼻咽喉科領域では,週期性嘔吐症の既往ある者の扁桃摘出術,アデノイド切除術の際に本症の発現を見る事があると言われている3)。耳鼻咽喉科領域に於いて,かかる症例の報告はあまり多くなされていないが,未発表のものが相当あるであろう。後で述べる様に,本疾患は適切な治療を施せば予後不良のものではないが,本疾患の発来を予想しない場合,耳鼻科医では処置を誤る危険がないでもない。従つて本疾患に関する一応の知識は我々にとつて不可欠のものと言えよう。この様な見地から,最近我々の経験した症例,即ちいずれも週期性嘔吐症の既往があり,アデノイド切除術後(第1症例),扁桃摘出術後(第2症例),鼓室形成術後入院治療中(第3症例)に本症を起し治癒せしめた3症例についてその経過の大要を述べ,いささかの考察を加えて報告する。
Yoshie reports 3 cases of post-operative periodic vomiting that occurred following adenoidectomy in one case, tonsillectomy in the other and tympanoplasty in the third.The vomiting occurred early postoperative while the patients were hospitalized for after case. The author believes that simple allergy is inadequate in explanation of the causativefactor. He also emphasizes the possibility of an attack of shock among individuals vulne-rable to such an attack of vomiting spells.
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