小児と隣接領域 小児外科・I
嘔吐
角田 昭夫
1
1神奈川県立こども医療センター外科
pp.1138-1139
発行日 1976年8月10日
Published Date 1976/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206707
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小児(一般)外科疾患を分類してみると,外そけいヘルニアおよび良性,悪性腫瘍を除けば,残りのほとんどは消化管疾患であり,しかもその大部分は先天性消化管疾患である.したがって,これらの多くのものは新生児期に発症するので,出産を取り扱った産科医から直接小児外科へ紹介されることになる.本誌は内科雑誌という表題があり,読者層も内科・小児科医が多いと思われるので,本稿では上記のような新生児期の緊急外科疾患はひとまず置き,先天性消化管疾患の中でも,児が多少発育した時点で症状が顕著になるようなものや,後天性の消化管疾患を中心に述べる.なお理解を得るため,症状別に分類して記載することにする.
小児においては,嘔吐は極めてしばしばみられる症状である.嘔吐も回数,頻度,性状など千差万別であり,その原因も,生理的嘔吐から緊急に手術を必要とするものまで多岐にわたる.周期的に嘔吐発作がみられる場合,必然的に脱水を伴ってアシドーシスとなり,アセトン血症となることが多く,いわゆる自家中毒症という診断が,極めて安易に下され過ぎている気がしてならない.もちろんその大部分は"自家中毒症"の診断が正しいのであろうが,消化管に器質的疾患があり,最終的に小児外科を訪れた患児の既往歴を調べてみると,過去において"自家中毒症"と診断されていた例が意外に多い.
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