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学童に於ける耳鼻咽喉集団検診の方法について
加藤 敬吉
1
1佐賀関製錬所病院耳鼻咽喉科
pp.779-784
発行日 1961年9月20日
Published Date 1961/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492202736
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I.緒言
学童に於ける耳鼻咽喉疾患が学校保健上に占める役割が大きいことは周知である。慢性中耳炎・アデノイド患児の難聴・慢性副鼻腔炎による鼻性注意散漫症など学業に及ぼす影響は極めて著しい。これを慢性副鼻腔炎に就いて見ても,その発現頻度は大石・倉田・平林等は学童集団検診において40%前後の数字をあげ,都市学童に少なく農漁村に多く,生活環境との密接な関係があることを示唆している。宮島も亦本症が所謂体質異常児に多発することからして体質と本症成因の関連性が緊密なことを述べている。さらにアデノイドの罹患率も野坂の調査では学童1年男子で42%,女子38%の高率を示している。
このように耳鼻咽喉疾患は罹患頻度が高く,従つて従来個々の疾患に就いての研究業績は著しく多い。しかし耳鼻咽喉は互に連絡しまた体質と密接な関連がある処から総合的観察が行われねばならないにも拘らず,その研究は少い。従つて私は集団検診に際して予めアンケートをとり,撰別を容易にし,時間的労力の節約をなし,これと他覚的診断とを併用することによつて,集団検診の正確を期すると共に,治療方針の確立にも資そうと試みた。茲にその成績を報告して御批判を乞いたいと思う。
Statistical observation is attempted for de-tection of the diseases of the ear, nose and throat among students by group examination.
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