原著
結核集団検診に於ける二,三の間題点—特に地域社会に於ける「検診洩れの者」の予防医学的意義に就いて
水野 哲夫
1
,
柳沢 利喜雄
1
,
佐々木 輝幸
1
,
沖山 鐐三郎
2
,
石井 薫
2
,
狩野 政治
2
1千葉大学公衆衛生学教室
2千葉県五井保健所
pp.681-683
発行日 1963年12月15日
Published Date 1963/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202763
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我が国に於いて現在行われている結核住民検診は,次の理由によって全員検診を受けるべく,換言すれば可能な限り受診率を高めるように指導されている。即ち結核による死亡率が漸次低下しているとはいっても,未だに結核患者はその数が甚だ多く,特に未処置のままに放置されている患者がその跡を絶たないこと1),及び結核病撲滅に対する官民の多年の努力の結果,住民検診を可能ならしめる行政的・技術的基盤が存在することである2)。しかし結核住民検診の際の受診率を高めることは,様々の努力がなされているにも拘わらず,全国に於けるその平均受診率は低い2)3)。即ち検診を受けなかった者が地域によってはかなり存在する訳である。この「検診洩れ」の住民は結核集団検診という立場から,果してそのまま放置しておいても良いものであろうか。著者等はこの点に関して若干の検討を行ったので報告する。
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