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Michel,Fränkel以来,萎縮性鼻炎又は臭鼻症は鼻粘膜の萎縮,結痂,悪臭の3主徴をもつ潰瘍のない鼻疾患を意味するようになつた。その研究は前世紀以来多数の学者によつて行われている。その先人の努力にも拘らず,その本態に関する見解は一致せず,我々の研究もまた,暗中模索の域を脱しない。本症は古く単純性及有臭性萎縮性鼻炎―臭鼻症―に分類され,後者はまた,その発症の状態により,一次型及二次型に分類されている。Glasscheibは生化学的研究を基として,Minkowskyは組織学的研究を基として,分類を行つている。自ら両者は一致していない。さて我々は久保教授の創案になるMaxillo-turbinale Plastikを多数の症例について実施し,その検査成績,成果については順次発表して来たが,必ずしも満足すべき結果を得ているわけでない。或は手術の適応について誤をおかしたものとの疑がおこり,2〜3の考察を行つた。その結果到達した本症の本態観と手術の適応について述べたいと思う。
鈴木(孝)は1938年,久保教授の初期の手術例について,臨床的,組織学的検討を行つた。「大部分の患者は思春期以後25歳までの男女である。萎縮の軽度のものは性による差異はないが,高度のものは女性に多い。その主訴は上気道の乾燥感,鼻腔分泌異常,鼻腔以外の主訴としては頭重,頭痛及疲労倦怠感で,嗅覚障害があるため,鼻腔に悪臭は訴えないことが多い。上顎洞粘膜は鼻内萎縮の進行と共に線維性肥厚を呈し,内容貯溜も減少して来る。粘膜所見は一定なものでなく,病気の進行と共に変化する。洞前壁及び鼻腔側壁は肥厚硬化する。上顎洞は一般に発育不全型を示し,且上顎洞が篩骨蜂窠地区に侵入するために,篩骨蜂窠は上内方に圧迫され,蜂窠の発育も亦障害される。但し必ずしも(炎症に)罹患しているものでなく,その半は粘膜正常である。
Kitamura conducted studies on atrophic rhinitis with the character and the methodof treatment, particularly the operative, of the disease in mind ; and, concludes that maxillo-turbinal plasty as advocated by Professor Kubo is still the best method of treatment.
The author contends the cause of atrophic rhinitis is by no means sigular in nature but rather a complicated tissue interaction in the nasal cavity which leads its atrophycausing the disease entity. From physiobiological standpoint the stages of the atrophy is divided into classes Ia, Ib, Ic, IIa, IIb, and III.
However the choice of operative treatment depends upon the prognosis of recovery of functional capacity of the nasal structures.
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