特集 喉頭腫瘍
喉頭乳嘴腫治験症例
倉田 敏夫
1
1岐阜県立医科大学耳鼻咽喉科学教室
pp.414-416
発行日 1958年5月20日
Published Date 1958/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492202011
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緒言
喉頭パピロームは,組織的には良性腫瘍であるが,臨床的には甚だ悪性の経過を取るので有名である。本疾患は欧米では症例の多い疾忠らしく,本年度の国際耳鼻咽喉科学会の重要なテーマの一つにあげられている。同学会には,我が国からも小野譲教授が,このテーマの成因を分担され,報告される。その概要は岡山での日本耳鼻咽喉科学会,第58回総会で本年4月に発表されている。同教授によれば,日本於ける統計は,欧米に比べて症例が少ない故,本邦にては本疾患はむしろ比較的稀な疾患と云うべきであらう。
こゝに報告する症例は,典型的な成書通りの所見及び経過を辿つた一例であり,その経過中,気管切開を再度にわたり施行し,一時は喉頭全摘の適示ありと迄考えられた例であつたが,倖いに,全く全治し得たのでその治療法に特に新しい提案があるのではないが,その経過を記述し,卓効あつた治療法に就て述べると共に,併せてその成因について考察を試みたい。
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