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従来副鼻腔炎及びその他の炎症に於いて抗生物質の使用はその治療方法を著しく改善した。しかし又一方酵素製剤の使用による治療方法が検討され始めて来た。これは当然炎症過程の基礎に働らいている酵素学的代謝過程を予想しているものといえよう。抗生物質に対する研究と同様にこの炎症の代謝過程に対する研究の必要性が生じてくる。副鼻腔炎に関する病理学的及び形態学的研究には従来多くの秀れた業績があつた。化学的解析の必要性は組織化学的研究を生み,これは又多くの貢献をした。しかし病態生理学的研究は非常に乏しく,又この研究方法によつて解決されるべき問題も多いと考えられる。炎症に対する酵素学的研究は実験的炎症シユワルツマン現象に於いて局所の代謝過程の追求によつて行われた1)2)。そしてそれは局所蛋白分解酵素の役割を検討している。又実験的腹膜炎に於いて血液中の蛋白分解酵素とその抗酵素との関連からの研究が行われた3)。
急激な経過をとる腹膜炎に於いては血中線維素分解酵素の活性が高く,これに対し抗酵素価を高めることによつてその死を防げることを実験した。
A study on anti-proteolytic enzimes that may be present in sinus mucous membranes, nasal polyps and tonsils, structures removed at operations, is made. The enzymatic actions were observed by catalysis of casein. The sinus mucous mambrane and tonsils failed to show the presence of antiproteolytic enzimes but the extracted fluid of the nasal polyps showed it to be positive.
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