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中耳癌の1例
猪 初男
1
,
竹山 勇
1
,
平沢 ヒサ子
1
1国立東京第二病院耳鼻咽喉科
pp.583-588
発行日 1959年8月20日
Published Date 1959/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492202288
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I.まえがき
聴器に原発する癌腫は非常に稀で,本邦の報告では70例をみるにすぎない。Bezoldは2万例の耳疾患中,悪性腫瘍は4例にすぎぬとしBronderは63例の聴器悪性腫瘍中,耳介に発生するもの84%,外耳道は14%,中耳に発生するものは,僅かに2%であると報告し,中耳に発生する癌腫が極めて少いことを物語つている。市原によると,本邦例67例中,癌腫発生部位が外耳道のもの30例,中耳腔13例,乳様蜂窠11例,耳翼9例,不明4例で,中耳に発生する癌腫が稀少でないことを示している。また聴器癌腫の殆んどが原発性のもので,続発性のものは本邦では3例をみるにすぎない。ここに中耳に原発したと考えられる聴器癌腫の1例を報告する。
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