特集 最新の診療NAVI―日常診療必携
Ⅶ.炎症・感染症診療NAVI
4.扁桃炎病巣感染
関 伸彦
1
,
氷見 徹夫
1
1札幌医科大学耳鼻咽喉科
pp.195-200
発行日 2012年4月30日
Published Date 2012/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411102157
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Ⅰ 疾患(症候)の概説
扁桃病巣感染症とは,「扁桃に慢性炎症があって原病巣となり,それ自体はほとんど無症状であるか,時に痛みや違和感といった軽い症状を呈するにすぎないが,扁桃から離れた諸臓器に症状が現れる疾患」であり,扁桃摘出術(以下,扁摘と略す)の高い有効性から,掌蹠膿疱症,胸肋鎖骨過形成症,IgA腎症がその代表的疾患とされている。ヒポクラテスの時代から,ある臓器での感染が他部位に症状をもたらすことが知られており,20世紀初頭に病巣感染(focal infection)という概念が誕生した。近年,その病態が感染性炎症ではなく,自己免疫的機序であることが明らかになるにつれ,扁桃病巣疾患(tonsillar focal diseases)という呼称が用いられつつある。
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