特集 扁桃—今日の臨床指針
IV.他科領域と扁桃炎
扁桃病巣感染
猪 初男
1
1新潟大学
pp.803-807
発行日 1985年10月20日
Published Date 1985/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492210030
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
I.はじめに
病巣感染の概念が確立されたのは1939年Gutzeit & Paradeの総説1)が報告されてからのことであるが,その報告では「病巣感染とは身体のどこかに限局した慢性の炎症病巣,すなわち原病巣focusがあって,それ自体はほとんど無症状であるかまたは時に症状を呈するといった程度にすぎないのに,原病巣から離れた諸臓器に反応性の器質的または機能的障害(二次疾患)を惹き起こす病像をいう」と定義している。この見解はわれわれ臨床家にとって実際的で理解しやすい。
ところでfocusとなりうる慢性病巣は全身の至るところに存在しているが,扁桃がfocusになっている場合がきわめて多いことはわれわれの症例でも内外の文献からも明らかで,なぜ扁桃の慢性炎症病巣がfocusになりやすいかについて考察することが扁桃病巣感染の発現機序を論ずる場合きわめて前要であると考えられるので,この点から記述を進めることにしたい。
Copyright © 1985, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.