特集 喉頭腫瘍
喉頭蓋に発生した多発性先天性アテローム様嚢胞
今給 黎堯
1
,
井上 裕司
1
,
川目 湛太郎
1
1東京医科大学耳鼻咽喉科学教室
pp.463-466
発行日 1958年5月20日
Published Date 1958/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492202024
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緒言
喉頭嚢胞は喉頭の良性腫瘍の中でも比較的稀に見るものである。Juraszは192例の喉頭良性腫瘍中14例,Fauvelは350例中3例,Masseiは200例中13例,Mackenzieは100例中2例の嚢胞を集め,又極く最近の小野氏の集計では9291例中22例(2.4%)となつている。而して之等は生理的に存在する腺,或いは腺排泄管の閉塞によつて生ずる停滞嚢胞が最も多く,内容は大多数乳様透明,漿液性或いは粘液性透明又は混濁を示す。この他稀であるが濃厚鉛粥状の内容を有する嚢胞があり,之をChiari, Glasは何れも先天性のものであるとし,夫々アテロームチステ,アテローム様嚢胞と記載した。我が国に於ては入山(1924)が喉頭蓋のアテローム様嚢胞を最初に報告し,其後砂田,田中が発表したが,之等の多くは孤立性である。元来本疾患は自覚症が極めて軽微であって,剖検時偶然に発見されたもの,或いは健康診断の際に見出されたもの等数例の記載を見るに過ぎない。
我たは最近喉頭蓋舌面に多発性に発生したアテローム様嚢胞の二例を観察したので茲に報告する。
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