特集 喉頭腫瘍
輪状軟骨後部癌(Post-cricoid cancer)
岩本 彦之亟
1
1久留米大学
pp.354-355
発行日 1958年5月20日
Published Date 1958/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492202001
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本症は食道入口部直上前壁即ち輪状軟骨後面にくる癌腫で,英国学派は下咽頭癌の一型と見做し,米国学派は喉頭外癌に属せしめているが,時には食道入口部の方向に増殖するため頸部食道癌として取扱われることもある。
本症に関してはLogan Turner1)(英)が1913年及び1920年のJ. Laryng. and Otol. に詳細に臨床的重要性を説いており,その他にも英米では多数の症例報告がなされているが,我国では比較的少なく僅かに4例の報告を見るにすぎない,即ち1941年滝野2)が38歳女子の剖検例を報告し,次で1951年岩本3)は66歳及55歳男子の本症に対し喉頭全摘を行つたが何れも術後3ヵ月及び5ヵ月後の短期間内に再発死亡した2例を報告し,1956年早川4)も43歳女子の本症に喉頭全摘及び食道切除を行つたが術後6ヵ月後に再発死亡した例を報告しているに過ぎない。
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