特集 喉頭腫瘍
喉頭癌の悪性度
岩本 彦之丞
1
1久留米大学医学部耳鼻科
pp.316-319
発行日 1958年5月20日
Published Date 1958/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492201995
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後述のように癌型は喉頭癌の予後と非常に密接な関係があり,声帯癌では再発死亡率は2%にも満たないのに反し,他の癌型では何れも再発死亡率が20%以上を占めている。然し一方,同じ癌型であつて而も臨床上同程度の病変と思われる場合でも,或るものは再発し或るものは永久治癒を来し,甚しい場合は再発の危険は殆んどないと考えられるような初期小病変の癌腫が意外に術後再発したり,或は非常に進行していて当然再発を予想されるような癌腫が案外再発せずに永久治癒を来すことは臨床家の屡々遭遇する所で,このような場合は臨床像や癌型からだけでは再発の理由を説明出来ない場合がある。この盲点を突いたのが癌の病理組織学的検索で癌の組織像が予後に関係するのではないかとの考えが起つた所以である。これに関する研究は数多あるがその中でも先ずBrodersの組織学的悪性度の問題を採り上げてみよう。
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