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所謂突発性難聴に対するピロカルピン療法の効果に就て
立木 孝
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1東北大学医学部耳鼻咽喉科学教室
pp.847-852
発行日 1957年11月20日
Published Date 1957/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492201880
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Ⅰ.緒言
迷路性難聴のピロカルピンによる治療は,1879年Politzerによつて始められたものであるが,Kosegartenによれば当時も一般に大きな賛同は得られなかつたもののようで,その追試成績も必ずしも輝かしいものとは云えない。然し乍ら難聴,特に迷路内に原因を持つ聴覚損失の恢復は,現在と云えども甚だしく困難な事で,たとえ一例でも良果を得る事が出来れば,この方面の分野に於いてそれは大きな意味を持つものと云う事が出来よう。ピロカルピン療法も,数多いとは云えなくとも,その後着実に有効例が報告され,極く最近本邦に於いても急激に来つた難聴に対して行つた吉田氏の例,外傷性難聴に対する牟田氏の例等,その効果は確実に認められている。
著者も先年来東北大学耳鼻科外来を訪れる各種の迷路性難聴に対して,機会ある毎に本療法を試みて来たが,所謂突発性難聴のそれに於いて,認め得べき効果を確認し得たので,茲に報告して大方の御批判と御追試を頂きたいと考えるものである。
Tsuiki tries the use of pilocarpin therapy for treatment of 14 cases in whom the comp-laints were sudden onset of beafness. Recovery was seen infive cases (35.7%). Factors that may be considered as causing the treatment to be effective are discussed.
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