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気管・気管支腺腫の2例
佐藤 正夫
1
,
戸塚 元吉
1
1東京大学医学部耳鼻咽喉科学教室
pp.708-714
発行日 1957年9月20日
Published Date 1957/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492201852
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Ⅰ.諸言 気管,気管支にみられる良性腫瘍のなかで,腺腫は最も多く,且つ臨床的,病理組織学的に興味あるものといわれている。1938年Pollakが在来の文献を統計的に観察したものによれば,気管・気管支の良性腫瘍で剖検により発見されたもの27例中13例,気管支鏡下に切除した試験切片により,病理組織学的に決定されたもの77例中38例が腺腫で,総計104例中51例は腺腫で第一位を占める。又Lindgramが81例の気管支良性腫瘍中,33例は腺腫で,粘液ポリープ17例,腺維腫12例,軟骨腫9例,脂肪腫5例等々に比べて,その占める重要性が推定出来る(第1表)。
本症の最初の報告はMüllerが1882年剖検死体の気管支に発見したものであり,その後も本症の報告は少なかつた(Müller以後46年間に3例)。しかるに1930年頃より内視鏡の発達に伴い,内視鏡検査の普及する一方,レントゲン診断の進歩とあいまつて,本症の報告は著しく増加した(1944年までに300例をこえる)。
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